公表日:令和7年12月19日
自由民主党・日本維新の会
PDF:155ページ
令和8年度 税制改正大綱
〜原文コメント(章・ページ)と補足コメント付きの実務運用設計〜
令和7年12月19日、自由民主党および日本維新の会は「令和8年度与党税制改正大綱」を公表しました。 本資料は大綱(PDF全文)をもとに、経理・人事・購買・法務・経営企画における 実務影響と社内対応を、「どこに書いてあるか」(章・ページ)まで追える形で整理したものです。
ページ表記について(重要)
- 本文ページ:目次に記載される本文のページ番号(例:第一 1、第二 32…)
- PDFページ:PDFビューア上のページ番号(1始まり)
- 目安として、本文ページに+4するとPDFページが概ね一致します(表紙・目次等が先頭にあるため)。
※ 税制改正大綱は方針文書です。施行日・要件・経過措置の最終確定は、法令・政省令・通達で行われます。
この資料の使い方(社内で回す)
Step 1:該当テーマを選ぶ
一覧表の「自社該当」を Yes/No/要確認 で埋める。
Step 2:社内対応に落とす
規程・システム・証憑のどれが必要かを明確化。
Step 3:期限管理する
「対応期限ガント」で担当・期限を置き、進捗を週次で回す。
改正点 × 実務対応 一覧(原文コメント+補足コメント付き)
※「補足コメント」は社内説明用の意訳(断定回避)です
| 改正テーマ | 補足コメント(何が起きる?) | 影響部門 | 必要な社内対応(規程/システム/証憑) | 施行日・経過措置(現時点) | 原文コメント(章・ページ) | 自社該当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 基礎控除等を物価上昇に連動して引上げる仕組み |
物価上昇により実質負担が増えやすい控除(課税最低限)について、物価変動を踏まえた調整の方向性。
補足(社内説明用)
「毎年必ず控除が変わる」ことを直ちに意味するものではなく、
どの指標・どのタイミングで反映するかは今後の制度設計で確定。
実務としては給与・年末調整システムを“可変前提”で準備しておく。
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人事/経理 |
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施行時期は今後の法令で確定 (方針として示された段階) |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.2(PDF p.5)付近
「物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組み」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 通勤手当・食事支給の非課税限度額等(税制上の基準額)を点検・見直し |
長年据え置きの“非課税枠”や基準額を、生活実態(物価)に合わせて点検する方向性。
補足(社内説明用)
拡大だけでなく、制度の簡素化や線引き変更の可能性もあるため、
福利厚生の税務扱い(課税/非課税)を再確認する。人事・経理の共同対応が必要。
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人事/経理 |
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施行時期・経過措置は今後の法令で確定 |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.2(PDF p.6)付近
「通勤手当」「食事の支給」等の限度額見直し
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 賃上げ促進税制:中小企業に特化した形へ見直し |
物価高を超える賃上げを促すため、賃上げ税制を“中小企業に重点化”する方向性。
補足(社内説明用)
中小企業判定・比較年度・対象給与等の定義が肝。
「制度の対象になりそう」だけで走らず、賃金台帳と判定資料を先に整える。
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人事/経理/経営企画 |
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施行時期・要件は今後の法令で確定 |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.2(PDF p.6)付近
「中小企業に特化した形に見直す」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 大胆な設備投資促進税制(高付加価値化型の設備投資を後押し) |
生産性向上・高付加価値化に資する投資を税制で強く後押しする方針。
補足(社内説明用)
事後適用が難しくなる(認定や要件確認が“前提”になる)傾向が強い領域。
稟議段階で「対象設備か」「税額控除/償却どちらか」などを確認し、証憑設計まで行う。
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経理/購買/法務/経営企画 |
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施行時期・適用期限は今後の法令で確定 (投資計画に先行して準備推奨) |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.3(PDF p.6)付近
「大胆な設備投資促進税制を創設」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 研究開発税制:「戦略技術領域型」の創設(AI・量子・バイオ等) |
戦略技術分野の研究開発と国内拠点・人材を税制で後押しする方針。
補足(社内説明用)
「研究テーマの該当性」「経費区分(人件費・委託費等)」「成果物・計画の文書化」が鍵。
監査・税務調査で説明できる“証憑パッケージ”を先に設計する。
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経理/法務/研究部門/経営企画 |
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施行時期・要件は今後の法令で確定 |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.3(PDF p.6)付近
「戦略技術領域型を創設」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 国境を越えた電子商取引に係る消費税の適正化 |
国外取引・プラットフォーム取引で、国内外の公平性確保を狙う方針。
補足(社内説明用)
SaaS・クラウド・広告・アプリ等で影響が出やすい。
契約主体(国外/国内)、請求形態、プラットフォーム関与の有無で課税関係が変わり得るため、法務と経理の棚卸しが必要。
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経理/法務/購買 |
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施行時期は今後の法令で確定 |
第一「基本的考え方」内の要点列挙
本文p.3(PDF p.6)付近
「電子商取引…消費税の適正化」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| インボイス制度導入に係る経過措置:最終的に終了を堅持しつつ見直し |
経過措置は「最終的に終了する」方針を維持しつつ、負担配慮の観点で見直しの方向性。
補足(社内説明用)
経過措置への依存はリスク。免税事業者との取引は「請求・保存・控除可否」運用を固定し、
変更に備えて取引先区分の台帳(登録番号・区分・契約更新日)を整備する。
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経理/購買/経営企画 |
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「最終的に終了」を堅持(見直し検討) 施行・経過は今後確定 |
第一「基本的考え方」内
本文p.4(PDF p.7)付近
「経過措置…最終的に終了…見直し」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 国際課税:BEPSプロジェクト推進(租税回避防止・公平な競争環境) |
国際的な租税回避を防止し、企業間の公平な競争条件を整備する方針。
補足(社内説明用)
直ちに制度変更がなくても、文書化・開示・説明責任が増える傾向。
海外子会社や国外取引がある場合は、移転価格・CFC・Pillar Twoなどの論点を“棚卸し”しておく。
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経理/法務/経営企画 |
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継続対応(国際合意と整合) |
第一「基本的考え方」内
本文p.3(PDF p.6)付近
「BEPS…積極的に進める」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
| 防衛力強化に係る財源確保(税制上の対応) |
恒久政策には安定財源という考えのもと、防衛財源に税制で対応する方針。
補足(社内説明用)
直近での実務改修よりも、中期計画・資金繰り・人件費計画への影響試算が主戦場。
具体税目・税率・開始時期は今後確定のため、現時点は“シナリオ試算”を用意する。
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経理/経営企画 |
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具体内容は今後確定(方針提示) |
第一「基本的考え方」内
本文p.4(PDF p.7)付近
「防衛力強化…税制上の対応」
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□ Yes / □ No / □ 要確認 |
補足:目次(章構成)を使った“追跡”
大綱の詳細は、目次により「どの章に詳細があるか」を追えます(例:個人所得課税=本文p.32、法人課税=本文p.86…)。 実務では、上の一覧で当たりをつけた後に、該当章(本文ページ)を原文PDFで確認してください。
章の開始目安:個人所得課税=本文p.32(PDF p.36頃)/資産課税=本文p.65(PDF p.69頃)/法人課税=本文p.86(PDF p.90頃)/消費課税=本文p.119(PDF p.123頃)/国際課税=本文p.132(PDF p.136頃)
対応期限ガントチャート(目安:社内タスク管理用)
※ 施行日が未確定の項目は「準備を前倒し」する設計。確定後に期限を更新してください。
| 対応項目 | R7下期(〜3月) | R8上期(4〜9月) | R8下期(10〜3月) |
|---|---|---|---|
| 給与・控除(基礎控除/非課税枠) | 影響把握/規程案 | システム反映/周知 | 運用レビュー |
| 設備投資税制(稟議・証憑設計) | 稟議改定/テンプレ導入 | 投資案件に適用開始 | 適用状況レビュー |
| 賃上げ税制(台帳整備・試算) | 台帳整備/比較年度確定 | 実績集計/申告準備 | 制度更新に追随 |
| インボイス経過措置(取引先棚卸し) | 継続棚卸し | 契約更新タイミングで反映 | 終了見据えた最終整理 |
| 国外取引(電子商取引・国際課税) | 取引類型棚卸し | 契約・税区分の整合 | 監査・調査の説明準備 |
テンプレ・チェックリスト(そのまま社内導入)
A. 設備投資税制(稟議テンプレ)
1) 投資目的: 生産性向上/省力化/DX/脱炭素/高付加価値化 等
2) 投資内容: 設備名、型番、取得価額、取得予定日、設置場所
3) 税制該当性チェック: 対象設備要件(Yes/No/要確認)
4) 税務効果試算: 税額控除 or 特別償却(概算)/キャッシュフロー影響
5) 証憑セット: 見積書・仕様書・導入効果(KPI)・認定/確認資料・稟議議事録
※「購入後に適用可否を判断」は失敗しやすい。稟議前に税制要件を確認する。
B. インボイス(取引先棚卸し)チェック
- 取引先マスタに「登録区分/登録番号/更新日/契約更新日」を持たせる
- 免税事業者との取引は、契約更新で価格・条件・請求書要件を見直す
- 経過措置に依存した運用(控除・経理処理)がないか点検する
- 保存要件(請求書・契約・実態資料)を一つのフォルダ構造に統一する
C. 賃上げ税制(台帳・比較年度)チェック
- 中小企業判定(資本金・従業員等)を固定し、根拠を保存
- 比較年度(ベース)を明確化し、例外(転籍・賞与変更など)を整理
- 賃金台帳・給与改定の決裁記録を“申告パッケージ”化
- 制度要件の変更に備え、集計ロジックを自動化(手計算依存を減らす)
D. 国外取引(電子商取引)チェック
- SaaS・クラウド・広告・アプリ等の支払先(国内/国外)を一覧化
- 契約主体、請求主体、提供地、利用者所在地(必要範囲)を整理
- プラットフォーム関与の有無をタグ付け(税区分判断の前提)
- 法務レビューのチェックポイントに「消費税の課税関係」を組み込む
IPO準備・監査/税務調査で詰まる論点(先回り)
1) 税制適用は「裁量」ではなく「立証」
設備投資税制・研究開発税制・賃上げ税制は、証憑(根拠資料)の整備がないと、 監査・税務調査で説明が破綻しやすい領域です。
- 稟議・議事録・計画・KPI・認定資料をセットで保存
- 会計処理(固定資産・研究費)と税務適用の整合を取る
- “制度を知っている”より“資料が揃っている”が強い
2) J-SOX/内部統制の更新ポイント
- 設備投資稟議プロセス(購買→法務→経理)に税制チェックを組み込む
- 取引先マスタ(インボイス/登録区分)の更新統制(誰が、いつ、どう承認するか)
- 給与・福利厚生(非課税枠変更)に伴う規程改定と周知の統制
監査・税務調査で聞かれがちなQ(例)
- この設備が「対象要件」を満たす根拠は?(仕様書・効果・認定)
- 研究開発費の集計は誰が、どの証跡で、再現可能に作っている?
- 免税事業者との取引で、経過措置をどう管理している?(マスタ管理・保存)
- 国外取引の課税区分を、契約・請求・実態で説明できる?
原文PDF
出典:令和8年度与党税制改正大綱(令和7年12月19日、自由民主党・日本維新の会)